事故時の、散乱物の散らばり方を、説明します!
事故直後の事故現場では、事故に遭った車やバイクの部品、歩行者の荷物などが、道路上に散乱している状況を見たことがある、という人もいると思います。
これらの散乱物ですが、実は、散乱物は『扇状に広がっている』のです。
散乱物が”扇形”に広がるのは、なぜでしょう?
わかりやすいように、例を挙げて説明します。
2月3日に節分という行事があります。
「♪鬼は外、福は内♪」
と言って、豆撒きをしますね。
その『豆撒き』と、交通事故の際の、散乱物の関係は?
では説明しましょう。
1、豆を一握り掴み、10m先のところへ目がけて投げます。
2、豆を一握り掴み、20m先のところへ目がけて投げます。
10m先へ目がけて投げた豆は、投げた位置から扇状に広がって落ちています。
20m先へ目がけて投げた豆も、投げた位置から扇状に広がって落ちています。
これらの豆は、まっすぐ投げたわけですが、直線的に並んで落ちているわけではありません。
豆が扇状に広がって落ちているのは、誰でも理解できると思います。
さらにここで注目するのは、10m先に目がけて投げた豆と、20m先に目がけて投げた豆の、広がった範囲です。
10m先に目がけて投げた豆よりも、20m先に目がけて投げた豆の方が、より一層広がって落ちているのがわかります。
遠くへ飛んで行った時ほど、要するに飛んだ距離が長いほど、大きく広がるのです。
20m先に目がけて投げた豆の方が、大きな扇状になって、落ちている状況になります。
警察や加害者などが、散乱物をいじると、すぐわかる
散乱物が飛んで落ちる様子や、扇形に広がるということは、理解できましたでしょうか?
以上のことから、事故の際、散乱物を見ますと、わかることもあるのです。
<ここで、ある調査の事例をご紹介>
ある死亡事故調査の際、車にひかれた歩行者の荷物が、道路上にたくさん散乱していました。
しかし、その散乱の様子が、おかしいのです。
買い物用のカート(引き車)、鞄、靴、メガネ、買い物袋、買い物の食品などが、全て一直線に縦になって、道路上にまっすぐきれいに並んでいました。
一体どうすれば、このように飛ぶのでしょうか?
いいえ、このような散乱の仕方は、ありえません。
歩行者が持っていた荷物は、車と衝突した際に、衝撃で飛ばされます。
様々な荷物は、扇状になって、散乱するのが本来の散乱物の状況です。
ところが、これらの散乱物が、同じ方向に、しかも一直線に縦になって並ぶことなど、絶対にありえないおかしなことなです。
こういう時、
「あっ、誰かが(散乱物を)いじったな。」
と、私どもはすぐにわかるのです。
・警察が散乱物を、元の位置から移動してしまうこと
・加害者などが証拠隠滅の目的で、散乱物を移動すること
などが考えられます。
以上のように、道路にある散乱物一つ見ても、事故についてわかることがあるのです。
ある弁護士が『散乱物が扇状に広がるのは、ありえない』と言った無知さ
弁護士に、”科学や数学が得意”というのは、ほぼいないでしょう。
よく、証拠にならない鑑定で、物理の公式を記してあるのがあります。
このような鑑定は、不確定要素を当てはめることができないので、全く通用しない鑑定なのです。
しかしこんなインチキな物理の公式を持ち出す鑑定に対し、弁護士や裁判官が、何も反論できない、つっこんで議論することもできない、要するに、法曹界のメンバーは『理系の知識がないので、触れないようにしている…』状況であるのが、誠に嘆かわしい、これが現在の日本の司法の状況なのです。
ここでも、ある交通事故の死亡事故裁判での、弁護士のお話をご紹介しましょう。
<「散乱物が扇状に広がる理由はない」と反論してきた弁護士>
トラックとバイクが、対面で衝突した事故でした。
壊れたバイクの部品や、バイクの運転手の荷物が、道路上に、扇状に散らばっていました。
そのことを述べると、相手方の弁護士が、レベルの低い反論をしてきました。
「そもそも、扇状に広がるという理由がない。」
とりあえず、何とか反論しなければならないという、弁護士の悲哀的な、定番の反論の仕方です。
客観性がない。
理由がない。
不明確である。
もっと技術的な、実のある反論はできないのでしょうか?
それぞれ重さも違い、不定形な形をしている荷物や部品が、飛んだ場合、全てが同じ場所に落ちるのか?
または、一直線に、縦や横にきれいに並んで落ちるのか?
頭の中で普通に考えても、『(扇状に)バラバラに散らばって落ちる』のが、わかると思います。
遠くへ飛んだ場合ほど、”扇状の形が広がる…”と言うのも、誰だってわかると思います。
このような弁護士には、「一度空き地などに行かれて、荷物や物を、ご自身で遠くへ放り投げてみて下さい。」
とでも、言うしかないのでしょうか?