交通事故の解析は、計算では証明できない!!
物理の公式や衝撃度G(加速度数値)を用いて、何でもかんでも計算式で出したがる、”自称 交通事故鑑定人”たちの鑑定が、「なぜ、インチキ詐欺鑑定なのか」、ご説明致します。
『物理公式を使用したインチキ鑑定書』
一般の方や、裁判官、弁護士の中には、”交通事故鑑定書”には、物理の公式が一杯書かれて居ると思われて居られる方が多い様です。しかし、物理の公式通りには決してならないのが交通事故なのです。
計算で交通事故のメカニズムを説明している”交通事故鑑定書”は”インチキ鑑定書”です。
その理由は簡単で、交通事故には多くは不確定要素があるからです。過去に日本交通事故鑑定人協会が行った事故の検証に於いて、計算上(理論上)は、自動車がブレーキを踏んでから停止するまでの距離が22mのはずなのに、実際に事故に遭遇した同じ車両を使って、実証実験を行った所、22mの制動距離では停止できず、27mも走ってから停止しました。
この理由に関し、後ほど検証した結果、この車のタイヤの空気圧が、通常よりもかなり高かった為に、地面との接地面積が小さくなり、ブレーキが効果的に作用しなかった事に加え、タイヤ交換をしてから5年を経過し、タイヤのゴムが硬くなっていた為に、タイヤの地面への食いつきが弱かった事も判明しました。この様な要素は、物理公式に代入出来ません。
この様に、交通事故には”不確定要素”が付き物で、簡単に計算等で結果を出す事は不可能です。また、物理の公式を使って、体にかかるGを計算している、怪しげな”自称 交通事故鑑定人”を見かけますが、そもそも、事故に遭遇した自動車の速度が特定出来ないのに、どうやって公式に数値を代入するのでしょうか。
交通事故を数式で解析する、”詐欺に近いインチキ鑑定書”は、ここ20年程の間に多くなった気がします。この様な”インチキ鑑定書”が無くならないのは、裁判官も弁護士も文科系の勉強を主に行って来て、物理の公式を見ても、”インチキ鑑定書”が正しいのか間違っているのかさえわからないのです。
過去に、物理の計算で交通事故のメカニズムを解明しようとした、某大学教授が居りました。そして、その教授は、自動車の模型に重りを乗せて、坂道を転がしたりして、様々な実験を行ったのです。ところが、何回実験を繰り返しても、何回計算をしても、実際の事故の結果とはかけ離れた結果が出てしまい、結局、彼の出した結論は、「物理の法則を交通事故に当てはめても、不確定要素が多い実際の事故では、正しい結果を導く事は不可能である。」との結論に達しました。
私はこの教授の書いた”交通事故鑑定書”を読ませて頂いた事がありますが、一つも難しい物理の話は登場せず、非常にわかり易かった事を強烈に記憶しています。本来、”交通事故鑑定書”とは万人が理解出来、その内容を裁判官も弁護士も検証可能な客観的な証拠でなければ証拠にも成り得ないのです。
『理論と実際は異なる』と言う事は、むしろ当たり前の事だと思われませんか。
今、北朝鮮が盛んに日本海に向けてミサイルを飛ばしていますが、その理由の一つも、”計算で割り出した弾道と実際の弾道が異なる"ので、理論値とどれだけ異なった場所にミサイルが落ちるのかを実験で確認しているのです。
ミサイルの落下地点でさえ、”不確定要素”が多すぎて、物理の公式だけでは割り出す事ができません。これと、同じ事がアメリカの宇宙開発における、アポロ宇宙船でもありました。
アポロ宇宙船の場合、ロケットが飛ぶ速度も地上の管制センターでわかるのですが、実際、ロケットを予定の軌道に載せるには、宇宙飛行士が自分の腕に付けたオメガのスピードクロックで時間を計りながら、ロケットを微妙に噴射しなおさなければならなかったのです。
ロケットやミサイルでさえ、物理の計算だけでは、何処に飛んで行くのかわからないのに、事故当時の速度さえ正確に分からない自動車事故に於いて、どうやって、”物理の公式”だけで交通事故が解明出来るのでしょうか。
日本交通事故鑑定人協会では、”自称 交通事故鑑定人”が行って居る様な”詐欺鑑定”は一切行っておりません。
自分達で”実証実験”を試みたり、プロのスタントマンにも意見を聞きながら、”交通事故の再現”をしています。
最近、”物理の公式”だけで”交通事故鑑定書もどき”を書いている諸君が、「日本交通事故鑑定人協会と自分たちは同業者」と言って居りますが、これは、非常に迷惑な話です。我々、日本交通事故鑑定人協会では、”自称 交通事故鑑定人”を交通事故鑑定人であると認めて居ないからです。
”我々の様に本物の交通事故鑑定人”は、決して皆さんから法外な調査代金を頂く事は御座いません。何方でもお支払い頂ける様な当たり前の代金しか頂きません。ところが、”自称 交通事故鑑定人”の方達は、数十万円~100万円以上の調査代金を皆様に請求します。中には、我々、日本交通事故鑑定人協会を意識してか、「5万円で交通事故鑑定書を書きます。」と言っておきながら、裁判終結までにやはり数十万円のお金を取る業者も居りました。これは、もう、限りなく詐欺に近い行為です。
この様な人達と、我々、日本交通事故鑑定人協会とを一緒にして頂きたくありませんし、”同業者”と呼んで頂きたくもありません。
現在、”警察関係者も居ない、保険会社関係者も居ない”安心して皆さんが、交通事故のご相談をして頂ける”第三者交通事故調査機関”は”日本交通事故鑑定人協会”だけです。
くれぐれも、”物理公式を多用する人達”や”法外な調査代金を請求する人達”にはご注意下さいませ。また、頭の悪い大学生の論文の様に、あちこちの文献から適当な事だけを”コピペ”して”鑑定書もどき”に仕上げる悪質な”自称 交通事故鑑定人”も数多く見かけます。
先日も、ある交通事故で、車が崖から落ちたのですが、”自称 交通事故鑑定人”が保険会社とグルになって、”物理の公式を一杯書いた鑑定書”を裁判で提出してきました。我々は、この鑑定書をスタントマンと一緒に見たのですが、思わず吹き出してしまう幼稚な内容でした。
この”自称 交通事故鑑定人”は、計算式で出した結果『急な崖の斜面を、運転手が左にハンドル切り、さらにブレーキを操作しながら、斜面を下って行ったものである』と主張していました。
しかし、実際には、車が崖に落ちて急な斜面に入ってしまうと、もうハンドルやブレーキを操作することが不可能な状況に陥るはずで、ハンドルやブレーキを順調に操作して走行するなど、とてもできるはずがないのです。
この後、このインチキ鑑定書は、裁判の中で徹底的に否定される事になるでしょう。
貴方は、この様な”証拠にもならないインチキ鑑定書”に大金を払うのでしょうか。