工学鑑定のウソ
工学鑑定で、交通事故鑑定はできない
インチキ鑑定は、”物理の公式”が好き
一般的な、自動車事故のおける工学鑑定とは、『瞬間速度』『加速度』『反発係数』『摩擦係数』『時間経過』『衝突の熱損失によるエネルギーの減少』など、これらのいくつもの要素を割り出し、計算するものです。
使われている計算方法は、物理の公式です。
ところが、通常の交通事故では、上記のような要素は、一つもわからないのが当然であるのです。
例えば、摩擦係数を求める際、路面とタイヤの摩擦係数の場合、その際のタイヤ一つを上げてみても、随分と、その状況に相違があるものなのです。
•タイヤの摩耗状況(すり減っているか、すり減っていないか)
•タイヤのゴムの劣化状況(新しいタイヤか、古いタイヤか)
•タイヤのゴムの質の状況(硬いゴムか、柔らかいゴムか)
などです。
これらの相違は、計算では出せません。
入力不可能な不確定要素が存在する場合、物理の公式は役に立ちません。
難しそうな物理の計算式を並べると、最もらしく見え、いかにも専門家らしい『鑑定書』に思えることでしょう。
しかし、その鑑定書を見た私たちは、何のことかさっぱりわからないですよね。
いい加減である内容を隠すために、”カムフラージュ”で、物理の公式を並べることが多いのです。
「物理の公式は、誰も理解できない」ということがわかっているから、敢えて並べ立て、誤摩化しているのです。
鑑定を依頼した事故当事者ももちろん、弁護士や裁判官にだって、意味不明の鑑定書です。
交通事故の鑑定書というのは、被害者•加害者の争いの証拠となるものですので、万人に理解できて、説得できるものでなければ、鑑定書とは言えません。
しかし、現実には、知識や技術のない”自称交通事故鑑定人”たちが、この”物理の公式”が、大好きなんです。
”インチキ鑑定人”や”自称交通事故鑑定人”のホームページには、”物理の公式”が、誇らしく並べられていますが、私どもから言わせると「誠に滑稽である」の一言に尽きます。
実に、ひどい鑑定です。
『想像』や『思いつき』『思い込み』から行う、”インチキ鑑定”は、最悪…
交通事故の鑑定は、車体の傷や凹み、被害者の身体の傷だけから、真実を突き止めなければなりません。
なのに、実は、警察の事故調査でも、『想像』『思いつき』『思い込み』だけで、鑑定もどきをしているのです。
例:①一般人と暴走族風の若者であれば、見た目で、暴走族風の若者を加害者であると決めつける
②スポーツタイプのバイクとお買い物タイプのバイクでは、スポーツタイプのバイクの方が、スピードが出ていると決めつける
③事故と関係のない傷も、今回の事故で付いた傷であると決めつける
このように、証拠のない”空想ごと”では、正しい鑑定はできません。
また最近では、交通事故をパソコンで再現できるソフトもあります。
しかし、これは実用性が低く、一つの目安程度にしかならないものです。
全国の警察の中には、このソフトを使用しているところもあり、その手法に、大いに疑問を感じています。
なぜならば、入力要素に不確定な要素があった場合、このソフトのシュミレーションに当てはめても、役に立たないからです。
では、本物の交通事故鑑定の手法とは
交通事故の解明は、私ども日本交通事故鑑定人協会のように『科学鑑定』により、行うべきです。
『科学鑑定』というのは、過去に収集した5,000例を超える交通事故の調査や、実証実験のデータから、交通事故の瞬間に、何か起こったかを、特殊な機器を用いて、特定する鑑定方法です。
車体の傷や凹みが形成された、その事故の瞬間を捉えなければ、正しい交通事故の鑑定はできません。
交通事故の解決は、「事故の瞬間を解明できるかどうか」に、かかっているのです。
私ども日本交通事故鑑定人協会が、独自の研究により編み出した『科学鑑定』は、門外不出のテクニックであり、”インチキ鑑定人”や”自称交通事故鑑定人”には、この『科学鑑定』の技術がないので、皆様には、ご注意頂きたいと思います。
『科学鑑定』には、特殊な機器を使いこなす必要があり、現在ではこの『科学鑑定』ができるのは、私ども日本交通事故鑑定人協会だけであります。
実は、私ども日本交通事故鑑定人協会は、数々の実証実験を繰り返し、物理法則との整合性を確認しつつ、これらの『科学鑑定』を確立したのです。
ここで、「実証実験がいかに大事であるか」のお話を致します。
有名なスタントマンと、大学で交通事故を研究する教授のお話です。
大学の教授は、交通事故を解明するために、木で車の模型を作り、その木の車にはヒトに見立てた錘を乗せて、坂道を走らせては、車の加速度と衝突の実験をしていました。
その後、今度は、スタントマンにより、実際の車とヒト(スタントマン)を使い、同じような実証実験をしてみました。
なんと、木の車の場合と、実車とヒトを使った実証実験の場合とは、全く違う結果になったのです。
当然に、この大学の教授は、物理の法則についても熟知していたにもかかわらず、物理の公式に当てはめても、実際の事故を再現できませんでした。
なぜかというと、入力不可能な不確定要素が存在したからです。
実証実験の重要さが、際立った事例であります。
最後に、”工学鑑定”と”物理の法則”に思うこと
『工学鑑定』『物理の法則』を主体にした交通事故鑑定は、証拠の能力は、ほぼないです。
なぜならば、裁判官も弁護士も、それら絵空事の鑑定結果を、正しいとは思っていないからです。
事実、裁判では、このような『工学鑑定』による事故の証明をしても、負けている場合が多いのです。
裁判に勝てないということは、『工学鑑定』は、全く役には立たない鑑定であるという結論です。