交通事故で弁護士が注意すること
車両は大事な証拠、徹底した保全管理を!!
交通事故の場合、『車両』は大変重要な証拠です。
相手方やその関係者には、決して見られぬよう、または触れさせないように、徹底して、証拠を守らなければなりません。
事故車両には、どのような重要な証拠があるか?
- 車両の傷跡
- 車両の部品類
- ドライブ・レコーダー
- イベント・ドライブ・レコーダー(EDR)
事故によって損壊された車両は、たいてい、所有者の自宅のガレージや修理工場に保管されていることがほとんどです。
しかし、その車両は、誰にでも見る場所に置いてあったり(→自宅ガレージやマンション駐車場など)、
修理工場であったり(→敷地内に施錠がなく、夜でも立ち入ることができる場所など)という、
見ようと思えば、簡単に見たり触ることができる場所に置いてあるのです。
従って、貴重な証拠を細工されたり、改ざんされることも多くあるのです。
証拠を保全できなかった結果、相手方が有利になってしまうことになっては、実に大失態となるのです。
模型を作り、事故態様をわかりやすく解説することも致します。
日本交通事故鑑定人協会の鑑定書は、わかりやすく、誰にでも理解して頂けるように作成しております。
必要な時は、模型を作ることも致します。
模型で再現すると、一目瞭然であり、裁判官にとっても状況の判断がしやすくなります。
企業側の細工や改ざん、隠蔽は日常茶飯事
調査依頼でもよく目の当たりにする、被害者や損害保険会社の調査員(アジャスター)たちの、事故車両の細工・改ざん。
<損害保険会社調査員が勝手に車両を見に来て、傷を細工していく>
被害者の車両は、自宅のマンション駐車場に置いてありました。
この駐車場は、誰にでも出入りできるところにあります。
事故後しばらくして、「車両の付近をうろうろして見ている人がいる」と近所の人から言われた被害者は、
すぐにマンション駐車場へ、自分の車両を確認しに行きました。
すると、すでに誰も人はいませんでしたが、車両を見ると、側面にあった長い傷あとが、かなり薄い色になっていました。
被害者は「もっと濃い傷であったはず」と不審に思い、「また何かされては困る」と、
念の為、車両の写真を撮影しておきました。
被害者の車両の傷は、何かでこすられたような感じで、事故直後の傷よりも、うんと薄い傷跡になってしまいました。
これは、いかにも軽い接触であったかのような細工をするために、相手方の損害保険会社の調査員(アジャスター)が行った仕業でした。
<裁判の証拠として提出した写真は、改ざんされた写真であった>
被害者は事故により損傷を受け、しばらく入院していました。
加害者には怪我はなく、加害者側の保険会社が、事故後、事故車両を調査しました。
のちに裁判となり、裁判所に提出された加害者の車両の写真には、事故の傷が全く写っていませんでした。
被害者の車両の傷跡から考えると、加害車両には、どのような程度の傷が付くか、専門家であれば想定できるのですが、その本来あるべきはずの傷が、加害車両には全くないのです。
これも「軽い事故であったということにしたい」という、加害者と保険会社の思惑からでしょう。
加害車両は「修理は必要なかったので、(修理は)しなかった」とのことですが、とんでもない、
加害者側は、内密でこっそりと修理を行い、修理後の傷のない写真を裁判所に提出していました。
<イベント・ドライブ・レコーダー(EDR)をメーカー(企業側)に、渡さないこと>
イベント・ドライブ・レコーダー(EDR)は、エアバックが開く5秒前から、運転状況を記録するシステムです。
アクセル・ブレーキの作動状況、速度、エンジンの回転数、シートベルトの使用状況、シートの位置、助手席の人の有無などを記録します。
記録されたデータは、メーカー(企業側)や警察庁により解析ができます。
解析のために車両から取り外されたイベント・ドライブ・レコーダー(EDR)は、メーカー(企業側)に有利なデータとなるよう、すり替えや改ざんをされる可能性があります。
そのために、安易に、イベント・ドライブ・レコーダー(EDR)を、渡さないようにすることが重要です。
例え、目の前で、イベント・ドライブ・レコーダー(EDR)をパソコンでつないだだけであっても、
そのパソコンから違うデータが書き込まれ、改ざんされることもあるので、
とにかく触らせないようにする、証拠保全の対策は万全にする必要があります。
事故車両は、見られない、触れない所で保管を!
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誰にでも出入りできる場所に、誰にでも見ることができる場所に、事故車両は置かないこと。
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事故後は、どこに車両が置いてあるかということを、誰にも言わないこと。
事故車両を保険会社やメーカー(企業側)に見せる時は、公平中立な第三者調査機関である『日本交通事故鑑定人協会』にご相談の上、必ず当協会の立会いのもとで、行って下さい。
現場では、保険会社やメーカー(企業側)の振る舞いや言動もチェックし、見せて良いもの悪いものは、その時に応じて、当協会が判断をした上で、了解を出させて頂きます。
証拠保全ができなかったことにより、命取りとならぬよう、徹底的に指示させて頂きます。